2013年9月15日 (日)

ローズS

本番の秋華賞よりも長い歴史を持つトライアル・ローズS。阪神競馬場に外回りコースができた年から芝1800mに距離が短縮されたが、レースの傾向に大きな変化は見られない。春の実績馬有利、距離が持つ馬が有利。ただし、今年は大混戦の世代だったし、台風の影響で馬場状態も微妙。これまでの傾向を覆す決着もあるかもしれない。

某所の予想では、フローラSの上位馬を評価したが、雨ならばウインプリメーラやセレブリティモデルの函館組に手を出してみたくなる。どちらにしても、スロー適性が重要で、桜花賞よりチューリップ賞、オークスよりもフローラSの実績を重く考えるのがスジだと思う。

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2013年9月14日 (土)

クラシックチャートwired~9月7日・8日

 秋の中山・阪神は、例年だったら新馬戦は「一段落」する時期である。この開催デビューで大成したのは、最近ではディープブリランテがいるくらい。10月の東京・京都に向けての間奏曲みたいな開催だった。

 しかし、今年はどうも様子が違う。とくに、阪神の新馬がなかなかメンバーが揃っているように映る。6月の阪神の頭数が揃わなかったのと、例年ならば札幌で使う組が函館を使わずに回って来たのと、両方の要因が考えられる。先週の「オーバー7」はぜんぶで4頭。こんなに多くなるとは想定外だった。

(評価点はいずれも暫定値)

○ライアンセンス=
9月7日・中山・未勝利芝1600m
父ジャングルポケット・母メジロルルド(父サンデーサイレンス)

 1番人気を裏切った新潟の新馬から一変。開幕週の中山芝で外々を回る、という掟破りの競馬で圧勝した。2馬身差2着のリクエストアワーが普通なら勝ち馬のレベルにあり、能力の高さは疑う余地がない。初戦は集中していなかった部分はあるが、頭高くドタドタ走っている現状では高速上がりに対応するのは難しかった。パワーと柔軟さに秀でたジャングルポケット産駒で、名牝メジロドーベルの孫。大型馬ということもあり、柔軟さは「緩さ」に繋がっていて、不器用さもそこに起因する。パンとすれば楽しみ。

○プロクリス=
9月7日・阪神・未勝利芝1600m
父キングカメハメハ・母ライラプス(父フレンチデピュティ)

 小倉の新馬は小回りでゴチャついて星を落としたが、負けたことによって、阪神芝1600mという牝馬の基幹コースを経験できたのだから良かったかもしれない。レース後に骨折が判明して離脱を強いられたが、軽症で春には充分間に合う。ゲートは出るし、馬込みでも我慢が利くし、鞍上の指示を待てる。真面目なキンカメ牝馬。最内から抜け出した脚は出色で、キリリとしたレースぶりは母のライラプスによく似ている。レース上手で数字面の裏付けもあるので、上のクラスでも楽しみは大きい。無事の復帰を祈るだけだ。

○アトム=8.5
9月7日・阪神・新馬芝1600m
父ディープインパクト・母シャイニングエナジー(父Rahy)

 母はアメリカG1馬だが、日本での繁殖成績は持ち込みの1勝馬がいるだけ。杉山忠国氏のオーナーブリード馬で、春時点では情報も少なかった、という「穴のディープ産駒」。POGでは血統を信じて指名するしかなかったが、蓋を開けたら良い馬だった。スローペースだったので数字の裏付けは乏しいものの、2着のミッキーアイルと3着のライザンはいずれもノーザンファームの高馬。前が詰まる場面がありながら一気に差し切って、両馬とは能力の違いを感じさせたのだから、いったいどれだけ強いのか。遅生まれで、無事に成長してくれば相当稼ぎそう。

○ポーラメソッド=7.5
9月8日・中山・未勝利芝1800m
父チチカステナンゴ・母タイキポーラ(父トウカイテイオー)

 初年度産駒が大不振に終わったチチカステナンゴ産駒。だけど馬の出来は良くて、春のシルク天栄ツアーでは金成調教師が「チチカスの代表産駒です」と豪語していた。福島の新馬初戦は回って来ただけだったが、一度使われて馬が一変。ペースが緩んだ3コーナーからぐんぐん上がっていって、坂を越してもゴールまで勢いがまったく鈍らなかった。上がり3Fはメンバー中最速だが、2位とは1.3秒の差だから、次元が違った。ふくよかな身体だが軽い歩様で弾むような走りで、スピードは充分。成長が間に合えばクラシックに乗れるだろう。

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クラシックチャートwired~2歳勝ち上がり夏の大総括

 夏の2歳戦が終了した。在籍頭数のルール変更(いわゆる2.5倍ルール)の影響で、6月の阪神は小頭数競馬が続出した。また、夏の北海道が函館での連続開催になったことで、函館に運ばず真っ直ぐトレセンに向かって、秋デビューに備えた「評判馬」に多かった(それは春の産地馬体検査の受検馬減で予想されてはいた)。

 それらの影響で、今夏の2歳戦は例年に比べて静かな滑り出しだったように思う。ここまでは仕上がり早い牝馬が幅を利かせている。4鞍あった2歳重賞は牝馬が全勝。いままで牝馬には厚い壁だった札幌2歳Sでもワンツーを決めた。もちろん、この時期牝馬の活躍が目立つのはいつものことだが、それでも例年ならコディーノ、グランデッツア、ゴールドシップ、ロジユニヴァースなど、核となるような牡馬が夏の2歳戦を賑わせていたことを思えば、今年は「これ」という牡馬が抜け出さないまま夏が終わった。

 9月1日終了時点で勝ち上がりは161頭。そのうち私の評価点で「エリート」の扱いになる7点以上は以下の22頭だった。

サトノアラジン

イスラボニータ
マイネルフロスト
ウインマーレライ
エルノルテ

7.5

マイネグレヴィル

レッドリヴェール
エイシンオルドス
スペランツァデーア
ピオネロ
クリスマス
ハープスター
サトノフェラーリ
ハイアーレート
オールステイ
クラリティシチー
プライマリーコード
エイシンキサナドゥ
ペプチドスピカ
デリッツァリモーネ
ミュゼリトルガール
プリンスダム

 あくまで暫定値なので、競馬王誌上に出すときには再調整を行う予定。「サトノアラジン一強」みたいな見映えになっているが、牡馬がスロースタートなのでこうなった。あくまで勝ち上がり時点の評価であって、番付的なものとは異なるので、あしからず。ハープスターが過小評価だったのは、スピード指数的な部分が伸びなかったから。

 評価の基準はそれなりに綿密で、たとえば8点ならばひとつに「来春のG1への出走が有望」=つまりそれだけの賞金を稼ぐだろう、ということ。7.5点以上をつけた6頭のうち、出走していないエルノルテとサトノアラジン以外はその後すでに賞金を積み重ねているから、こんな評価点でも役に立つこともあるよ、という証明にはなるだろう。

「7点に何頭も突っ込み過ぎだろう」という批判を受けてもっとも。これは誌面に出すまでの再調整の課題である。7.5点候補は、サトノフェラーリ、プライマリーコード、デリッツァリモーネ、ミュゼリトルガールあたり。ハープスターから上は9月号で評価済みだが、当時は0.5点をほとんど使っていなかったので、この部分は評価にばらつきが出てしまう。

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2013年9月12日 (木)

オーバルスプリント

●オーバルスプリント(浦和1400m)

 夏と秋の狭間に新設された短距離のダート交流重賞で、創設3年目にして今年からJPN3のグレードがついた。過去2年はともに空き巣っぽいメンバー構成になり、勝ち馬はダイショウジェットとアースサウンド。いずれも当レースが最初にして唯一の重賞制覇になっている(現在のところ)。

 今年は、去年のJBCスプリント勝ち馬・タイセイレジェンドが出走してきた。G1馬だから59キロを背負う。前走のクラスターCでも同じ斤量でラブミーチャンの0.1秒差2着に粘っているから、あと一歩とも言えるが、スタートダッシュが鈍くてドスライスにハナを譲ったし、ノーザンリバーやスノードラゴンとの2着争いは接戦だった。浦和1400mは1コーナーまで300mほどしかなく、首尾よくハナを奪えるかどうか。7番枠を引いたが、内側に速い馬が何頭かいる。1コーナーまでの運びが非常に重要だ。

 最内に船橋のナイキマドリード。2010年のJBCスプリント2着馬だが、今春のさきたま杯でも3着しているように能力に衰えはない。浦和は5勝を挙げている得意コース。スピード豊富でハナにも行けるが、控えても競馬できる。問題は、今回が2ヶ月半ぶりの一戦になるところ。「休み明けからいきなり」という仕上げは地方競馬では一般的でない。ただし、攻め量自体は申し分ない。

 ガンジスはタイセイレジェンドと同じ矢作厩舎で、タイセイのハナを叩くことはないだろう。とは言ってもスタートの上手な馬だから、前々での競馬にはなると思う。前走のサマーチャンピオンの敗因は両後を落鉄していたこと。両後裸足で走ってエーシンウェズンと1馬身差2着の競馬をした馬が、今回は斤量を1キロもらった。前走の着順は入れ替わる可能性が高い。

 大井のセイントメモリーはここに来て怒濤の4連勝。重賞も2連勝で、いよいよ交流競走初挑戦となった。もちろん、地方所属馬の初交流はなかなか通用しない。「交流のスピードに慣れてから」というのが通例だ。しかし、本馬は1200でも先行できるようにスピード自体は足りている。いい場所で回ってこられる可能性は低くないと思う。浦和は初めてだが向いているはず。

 ダイショウジェットの54キロは有利だし、上がりが掛かることの多い浦和も得意だが、10歳を迎えてさすがにズブくなっている。エーシンウェズンはスタートが悪いが、前走はあまりにも遅い流れになったので捲りが決まった。今回はそこまで遅くはならないはずで、普通に「差してどこまで」という競馬でガンジスの前に行けるかというと、展開の助けが必要だ。

◎ 5.ガンジス
○ 1.ナイキマドリード
▲ 7.タイセイレジェンド
☆ 5.セイントメモリー
△ 9.ダイショウジェット
△ 11.エーシンウェズン

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2013年9月 1日 (日)

小倉2歳S

●小倉2歳S

 どうも小倉2歳Sは時計勝負にならない様子だ。高速馬場で勝ち上がった速い馬が集まって、最終週の止まる馬場。セオリー通り「差せる馬」から入ろうとするなら、ラブリープラネットとエイシンキサナドゥの二択になる。

 馬群を捌く必要があるので、初戦が530キロで「素軽い」とは言いにくいエイシンキサナドゥよりは、器用さのあるラブリープラネットが選びやすいところだが、個人的にはエイシンキサナドゥの器の大きさに魅力を感じている。それから、あまり人気になっていないが、差し馬ということではもう一頭、ベルルミエールの名前も挙げておきたい。ラブリープラネットと同じく千葉セール出身馬で、完成度は甲乙つけがたいものがある。

◎ 4.エイシンキサナドゥ
☆ 1.ラブリープラネット
☆ 8.ベルルミエール

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新潟記念

●新潟記念

 例年ならここでサマー2000シリーズのチャンピオンが決まるはずだったが、今年は消化試合になった。重賞には一歩足りない馬たちと、勢いを失った実績馬、条件級からの上がり馬の三択というハンデ戦で、オッズも5頭くらいが横並び。どこからはいるのもお好み次第、というレースに見える。

 最軽量51キロのブリッジクライムは、(新潟にしては)時計が掛かる最終週で、状態はピークに近い。この馬向きの状況が揃っているので、人気になるのも当然だと思う。いつも詰めの甘い馬だが、将来の繁殖入りに向けて、重賞入着のブラックタイプはもらっておきたいところだ。

◎ 11.ブリッジクライム

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2013年8月31日 (土)

札幌2歳S

●札幌2歳S

 函館で行われる札幌2歳S。今年は本州組の参戦が多くて、北海道シリーズ自体は短縮されたにもかかわらず、新馬戦の勝ち馬だけでフルゲートが埋まってしまい、未勝利戦勝ち馬は抽選にもならなかった。

 このレースには「北海道組有利」という鉄則があって、前走で本州のレースを使われていた馬は、ロジユニヴァース以外一頭も勝っていない。今年の強力本州勢がこの鉄則を打ち破れるかがひとつの見どころになる。

 私の見解としては、いまの函館芝では「コース適性」という中途半端なものを超えたレースが行われているので、コース経験の有無よりも、馬そのものに力があるかないかに着目すべきだと思う。ただし、斤量補正によるスピードのかさ上げは利きにくい馬場なので、「牝馬苦戦」という傾向は例年通りなのではないか、とも思う。

◎ 8.オールステイ
○ 10.マイネルフロスト
▲ 6.マイネグレヴィル
☆ 4.ハイアーレート
△ 1.レッドリヴェール
△ 2.ピオネロ
△ 3.バウンスシャッセ

 印は月曜に出したものから、未勝利勝ちのサンダラスを抜いてハイアーレートと入れ替えた。オールステイは今週の調教が良かったのでそこそこ人気になりそうだが、要は「逃げられるか逃げられないか」。大きくて柔らかい走りをするので、スタンド前の直線発走で、躓いたりする危険性も考慮には入れている。ハイアーレートは前走こそ出負けしたが、もともとゲートに問題があるわけではないので、吉田豊騎手ならハナを狙ってくる可能性は充分だと思う。

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2013年8月30日 (金)

新潟天才試験

 過去の新潟2歳Sには「前走新潟組優位」という傾向があったが、今年のメンバーを見ていたらそうは思えなかった。「このレベルの素質馬が使ってきたら、新潟経験の優位性なんて消し飛ぶんじゃないか」と思えたので、素材優先で印を打った。そうしたら今年は新潟組優位の傾向は吹き飛んで、中京-東京-中京という決着になった。状況を見て傾向の変化に追いつくことができて、「現場派」としては胸を撫で下ろす結果だった。

 これについては、今年から競馬王の仕事で「勝ち上がり2歳馬全頭評価」をやらせてもらっている効果が大だった。10点満点の評価だが、このレースに出ていた8点はイスラボニータ、7点はハープスターで、あとは全頭7点未満。この二頭の馬連1640円は買わざるを得ない。といっても「俺すごいでしょ?」が言いたいわけではなく、おそらく誰がやっても似たような評点になるでしょう、こんなもの。ただし、突出馬の偏差をよりただしく実感するためには、全馬について同じスタンスからジャッジする必要がある。それだけのことだ。

 威張れるのはここまで。ハープスターの7点は大間違いだった。イスラボニータやマイネルフロストに8点を打ってハープスターに7点しか打てなかったことは、「勝ちっぷり優先主義」に堕していると言われても返す言葉がない。「松田博資厩舎・早期デビュー・ディープインパクト産駒」ということで、去年ラウンドワールドに期待しながら結果がもうひとつだったことが自分の中で尾を引いてしまった。誰に謝るわけではないが、反省する。

 反省したところでハープスター。外を回って殿からの直線一気で3馬身圧勝。しかも最後は物見をしているし。ゴール板がなかったらどこまでも伸び続けたんじゃないか? この馬自身、けっしてスピードが前面に出ているタイプではないのに(むしろ逆)、スピード寄りの舞台でスピード馬を蹴散らしてしまったところに凄みがある。エンジンの掛かりは速い方ではなかったが、一度トップスピードに乗れば性能が違う。新潟の長い直線を味方に、いつまでも気持ち良さそうに走っていた。

 ディープインパクト産駒は走らせてみないとわからない、とよく言われる。ディープインパクト産駒最大の武器は、走りが上手で、速い脚をずっと続けられるところだと思う。そういう意味では、ディープインパクトに関しては天才が遺伝する。少なくとも遺伝する可能性が高い、と思う。

 ただその才能については「(レースのスピードで)走らせてみないとわからない」という部分が大きい。馬体と調教だけで見極められる人も中にはいるのかもしれないが、まだ大勢ではないはず。今夏の新潟外回りには長い直線を求めて、ディープインパクト産駒の2歳馬が14頭も出走した。そのなかで勝ち上がったのはハープスターを含めて3頭だけ。「天才的な走り」を見せたのは、サトノアラジンを含めて2頭だったと思う。それ以外の大多数の馬は「新潟天才試験」に落ちてしまったわけだが、しかし14頭のうち天才が2頭もいれば、充分じゃないか。

 今夏の新潟からはクラシックへ向けて二頭。サトノアラジンとハープスターが旅立った。

※ブログ上での2歳勝ち上がり馬企画、「やるやる詐欺」になっているが、来週の木曜まではどうしても身体が空きません。夏開催が終わったのを機にリブートする予定です。謝らないが、反省します。

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2013年8月25日 (日)

新潟2歳S

■新潟11R 新潟2歳S

 過去歴を振り返ると「新潟経験が重要」という傾向が出ているが、ここでは素材評価を優先した。競馬王で出している勝ち馬評価ではイスラボニータ、ハーブスター、ダウトレスの順番だが、これはあくまでクラシック戦線をトータルで展望したときの評価。ハーブスターは前向きさが足りない現状なので、新潟のスピード戦では一枚下げるのが順当。

◎ 3.イスラボニータ
○ 4.ダウトレス
▲ 17.ハープスター
注 6.マイネグラティア
△ 1.アラマサクロフネ
△ 2.モズハツコイ
△ 10.マキャヴィティ

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キーンランドC

■函館11R キーンランドC

 函館の芝は、基本的にはあくまで隊列優先。前に行った馬が優位だが、先行争いが厳しくなって前が苦しくなると、後ろで脚を矯めていた馬がすっ飛んでくる。要するにダート戦を買うときと同じ呼吸で、とくに難しく考える必要はない。

 函館SS組+UHB賞というメンバー構成。このメンバーでは先行馬の格としてはフォーエバーマークが抜けている。抑えが利く馬ばかりで、隊列を乱す要素は少ない。「並びがそのまま」という決着を第一候補と考える。

◎ 1.フォーエバーマーク
○ 6.ファインチョイス
▲ 11.ストレイトガール
注 15.パドトロワ
△ 4.レジェトウショウ
△ 9.アドマイヤセプター
△ 3.シュプリームギフト

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