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2012年12月17日 (月)

朝日杯回顧~渾身の仕上げのロゴタイプがコディーノを振り切る

 土曜に降った雨の影響が残っていて、日曜の中山の芝は難しい状態だった(とくに外回りコース)。馬場が傷んだところを避けて通ろうとするため、どのレースも3~4コーナーで馬群がゴチャゴチャするのだ。内にいた馬は詰まってしばしば脚を余し、外でスムーズに加速に乗った馬を捕らえられない、というレースが続いた。朝日杯までに芝1600戦は土日で4鞍組まれていたが、7、8枠の馬が3勝して2着3着が1回ずつ。中山マイルは内有利がセオリーだが、先週末はあきらかに違う状況で、むしろ外有利と考えられたので、ツイッターでもそうポストしておいた。

 馬場状態を把握していれば今年の朝日杯は簡単な結果で、ロゴタイプの単勝36倍は、情報収集を怠らない人への競馬の神様からのプレゼントだった。しかし、年末の週末でしかも選挙があって、時間がない人も多かっただろう。というか、たいていのファンがそうだ。そういう人は「頼れるプロ」を見つけることをオススメしたい。俺のことじゃないよ。ひとつ挙げるなら、ここしかないでしょう。

 ロゴタイプは休養を挟んだ前走ベゴニア賞で18キロ増えて馬体が一変していた。コディーノの0秒7差4着だった札幌2歳Sよりもずっと上。なんとなく「休養」と書いてしまったが、休養といってもレースを休んでいただけで、ここまでシェイプアップしたのだから、育成牧場で良いトレーニングができたのだろう。馬の成長期に行われる2、3歳戦において、短期放牧の果たす役割ははかりしれない。今回の朝日杯では関東馬が1~4着を占めたが、2~4着馬は今年度から本格稼働している福島県のノーザンファーム天栄の利用実績がある(ロゴタイプについては調査中)。関東馬復権に向けてたしかな足がかりができた。

 もちろん育成牧場だけの手柄ではない。ロゴタイプはこの中間の3週間でさらに乗り込まれて、今回は「勝負」といえる仕上げだった。大一番でこういう仕上げをできる人を勝負師というのだろう。今回はコディーノを逆転したが、コディーノとの違いはレースぶりのスムーズさにくわえて「仕上げの差」という部分もあった。

 とはいっても、コディーノ陣営を責める意図は毛頭ない。コディーノの出来は前走と平行線。先々がある馬だから、ここでピークに持っていかないのは当然の判断だ。おとなびたレースぶりをする馬なので、コディーノを評して「完成度が高い」という人もいるが、馬体を見る人間からすると「はーん?」である。コディーノはまだ未完成だ。その状態で圧倒的なレースを続けているからコディーノはすごいわけで。

 今回はスムーズなレースができなかったにもかかわらず、最後までしっかり走っていた。だけどもう一頭強い馬がいた。それだけのことだ。ただし、行きたがる面をレースで出してしまったことは今後への修正材料になる。といっても前向きさはコディーノの魅力でもあるので、それほど悲観する必要もない。

 エーシントップは揉まれる形になって自身の良さをひとつも出せず、8着に敗れた。一番怖れていた結果だが、「揉まれ弱いだろうな」ということは馬体や過去のレースから読めていたことなのに、「強気に自分の競馬をすれば大丈夫!」とか言って充分にケアーできなかった。反省したい。3着のゴッドフリートは馬体が見映えしないのでなめてかかっていたが、過去レースが示すとおり、やっぱり強い。この馬の低評価はパドック屋の傲慢です。ごめんなさい。

 今回のパドックで個人的に一番の収穫は、4着に踏ん張ったフラムドグロワールだ。いちょうS以来2ヶ月ぶりの一戦。馬体重に変化はなかったが、身体を大きく使えるようになって、以前とは見違えるようだった。いま天栄にいるレッドレイヴンも含めて、藤沢和雄厩舎は来年の牡馬クラシックが非常に楽しみだ。ノウレッジには新馬戦のような直線一気を期待していたが、あまりにも出来が良かったためかコディーノに真っ向勝負を挑む形になって、最後ちょっと伸びを欠いて6着。蛯名騎手もレース後に「もっとそっと行けば…」というコメントを出していて、私と同じ感想だったので笑った。しかし、良い馬が良い出来で勝負に行って負けたのだから、反省はしても後悔する必要はひとつもない。良いレースでした。ありがとう。

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2012年12月16日 (日)

選挙の日の朝日杯

 選挙の朝。見通しでは、おそらく今回の選挙で政権交代が実現する。1996年に衆議院に小選挙区制が導入されてから、日本でも普通に政権交代が行われるようになった。

 王様のリストラ? 政権交代だよそれ。と突っ込んだのはナイツの土屋伸之さんだが、システマティックな革命としての政権交代の味を日本国民は覚えて、ピンポンみたいに政権は行ったり来たり。政権を求めて、各政党は競って他党との違いを掲げる。政党間の対立軸は明確になり、その結果かつて総中流といわれた日本社会がさまざまな分裂を抱えていることも顕わになった。

■中山11R 第64回朝日杯フューチュリティS

 衆議院選挙は46回目だが朝日杯は64回目。単勝10倍以下の人気に支持されているのは二頭しかいない。コディーノとエーシントップだ。

 コディーノは日本最強の生産・育成グループであるノーザンファームが送り出すエリートで、幾多の名馬を送り出した藤沢和雄厩舎に久々に現れたクラシック候補だ。デビュー戦から圧勝の連続で、札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳Sという出世レースを連覇。すでに2歳秋の段階で同世代の他馬から仰ぎ見られる存在である。

 これに立ち向かうのがエーシントップ。エーシン、エイシンの冠号でお馴染みのエイシン軍団は、時代の主流とは一線を画した馬づくりを続けながら、競馬界に確実な領土を保有し続けている。最近では内国産馬も増えたが、一貫して主力は外国産馬。独自の馬見技術を確立しているので、馬選びは血統の流行に左右されない。

 基本的にダービー路線には目を向けない。エイシンフラッシュが一昨年のダービーを勝っているが、あれはワケありの共有馬であり、エイシン軍団の主流ではない。エイシンの馬たちはマイル以下の距離を狙って選抜されており、大目標になるのはマイルチャンピオンシップであり、そしてこの朝日杯だ。

 エイシンガイモン、エイシンキャメロン、エイシンプレストン、エイシンチャンプ、エイシンアポロン。サンデー系の全盛期にサンデー系から背を背けながら、エイシン軍団は朝日杯での連対馬をこれだけ送り出している。失礼な言い方を許してもらえば、朝日杯は「エイシンでもなんとかなるG1」なのだ。

 エーシントップは坂路で古馬を含めた1番時計を出す。馬体重530キロを超える巨漢だが、均整がとれていて動きにも鈍重さがないので、他馬と並べなければ大きさに気がつかない。いまでは死語に近い「マル外の怪物」という呼称がこの馬には相応しく思える。おそらく早熟だろうし、クラシックを勝つこともないだろうが、しかし朝日杯に関しては話は別だ。ノーザンファームのエリートを相手にしても、譲るところはひとつもない。

◎ 9.エーシントップ
○ 5.コディーノ
▲ 14.ロゴタイプ
注 16.ノウレッジ
△ 1.ザラストロ
△ 4.テイエムイナズマ
△ 6.ラブリーデイ
△ 7.ティーハーフ

 あ、いかん。話の勢いで、ついエーシントップを本命にしてしまった。コディーノは日本現代競馬の最新トレンドをもれなく押さえた馬だ。スケールや迫力は感じられないが、必要な性能を高レベルで揃えていて、無駄な才能がない。トリッキーとされる中山芝1600への適応能力も問題なく、この馬を本命から外すのは予想家として狂気の沙汰だと思う。でも、よく考えたら俺、予想家じゃないし。スマートに立ち回るコディーノにパワーで推すエーシントップがどこまで通用するか。ここを対立軸として今年の朝日杯を見守りたい。

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