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2013年5月26日 (日)

誤算元年

 誤算が多かった牡馬クラシックだった。

 非サンデー系のクラシック向き種牡馬として導入されたチチカステナンゴとメイショウサムソンが期待外れだったこと。社台ファームが生産したディープインパクト産駒がすべて牝馬だったこと。若駒Sのリヤンドファミユ、京成杯のフェイムゲーム、弥生賞のカミノタサハラという、芝2000mの重要レースを勝った馬が次々に故障して戦線を離脱したこと。

 これらが重なって、中距離馬の層が薄いままダービーを迎えた。その裏を返せば、マイラーの台頭が目立つということでもある。今年は、マイラー種牡馬のフジキセキ産駒がきさらぎ賞と共同通信杯という2月の重要レースを制したし、朝日杯の勝ち馬ロゴタイプがストレートに皐月賞までスイープした。コディーノやエピファネイアにしても折合に不安を抱えていて、マイルならもっと強いのでは? と思わせる。

 朝日杯の勝ち馬がクラシックを制したのは、ナリタブライアン以来19年ぶり。その年はサンデーサイレンス産駒が登場する前年で、それ以前はビワハヤヒデ、ミホノブルボン、アイネスフウジンと、クラシック候補が朝日杯に出走するのは当たり前のことだった。クラシック候補は朝日杯でなくラジオNIKKEI杯(以前はラジオたんぱ杯)へ、という流れが定着したのはサンデーサイレンス時代の隆盛と軌を一にする。

 サンデーサイレンスの血が拡散した現在では、どこから一流馬が出てくるか読みにくくなった。というかむしろ逆で、サンデーサイレンスがいた時代が例外的だったのだろう。いまでは「ラジオNIKKEIから弥生賞へ」という王道路線からかつてほどのプレミアム感が失われている。冒頭に「誤算が多かった」と書いたが、そういう意味では、これからは毎年誤算が当たり前になる。その象徴になるようなシーズンだったと思う。

◎ 8.ロゴタイプ
○ 2.コディーノ
▲ 15.フラムドグロワール
注 9.エピファネイア
△ 10.タマモベストプレイ
△ 5.メイケイペガスター
△ 1.キズナ

 スピード馬が距離を克服してきたのが競馬の歴史で、近年のダービーならばウオッカやオルフェーヴルがそうだし、ディープブリランテもその線上にいた。ということで、「強そうな中距離馬」よりも「強いマイラー」に暖かいまなざしを注ぐ印を打った。普通の流れならば皐月賞上位馬の牙城は高いと思う。ちなみに皐月賞上位馬には、普通に競馬に参加して5着に踏ん張ったタマモベストプレイも含む。

 馬券的なスパイスは、休み明けのNHKマイルCで脅威の粘りを見せたフラムドグロワール。距離延長に対して準備ができているのは、勝ち馬のマイネルホウオウではなくこの馬の方だし、北村宏司騎手が空いていたのもラッキーだった。

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2013年5月20日 (月)

三代目はオークス馬

 オークスの優勝賞金としてJRAが用意するのは9700万円。この原資はいうまでもなくわれわれが購入する馬券の売り上げだが、クラシックの場合は付加賞が大きくて、今年のオークスは3134万6000円に達した(1着馬)。こちらは馬主同士が持ち寄ったお金を上位三者に一定の割合(7:2:1)で配分するもの。いわゆる「ステークスマネー」で、近代競馬の原点といわれる制度のひとつだ。

 今回のオークスでは、優勝したメイショウマンボが桜花賞終了後に200万円の追加登録料を支払っての出走だったことがあきらかになり、ひさしぶりにクラシック登録のことが話題になった。ちなみに、クラシック登録は2歳秋、3歳年始、レースの2週前の3回必要で、登録料はそれぞれ1万、3万、36万円。それぞれの段階で出走意欲のあるレースに登録料(=ステークスマネー)を払う仕組みになっている。たとえば、牝馬として64年ぶりにダービーを制したウオッカは、2歳秋の時点で桜花賞、オークスだけでなく、牡馬の三冠レースへも登録を済ませていた。

 メイショウマンボの場合、桜花賞には登録を済ませていたものの、オークスへの登録がなかった。そのため、オークスに出走するためには、200万円を払って追加登録という救済制度を利用する必要があった。今回のオークスで距離不安を理由にメイショウマンボを嫌った人は、自身の予想を恥じる必要はない。プロの調教師や熟練のオーナーの目を持ってしても、この馬の長い距離への適性を早期に見抜くことはできなかったのだから。

 メイショウマンボの母はメイショウモモカで、祖母がメイショウアヤメ。両馬とももちろん松本好雄氏の所有で、マンボと同じく飯田明弘調教師によって管理された。祖母のメイショウアヤメは新馬戦から芝の短距離戦を2連勝した快速馬で、暮れの2歳G1を使って4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)で権利を獲って桜花賞へ行った。暮れから春までの道のりは孫のメイショウマンボとほぼ重なる。

 道が分かれるのはその次戦で、アヤメは芝1400mの葵Sへ、マンボは芝2400mのオークスに行った。そしてそこでの着順は両馬とも同じ。

 この馬のオークス向きの才能を初めて明確に意識したのは、1月の紅梅Sで騎乗した武幸四郎騎手だったようだ。彼はそれを「大きなストライドとエンジンの掛かりの遅さ」と表現している。乗り役ならではの感性だ。

 パドック派の視点で補うならば、この馬の最大の武器は脚の長さだと思う。それにくわえて肩腰の関節の可動域が狭いので、長い脚をできるだけ長いまま使うようなデザインになっている。ただ、関節の可動域が狭いということは柔軟性に欠けるということで、幸四郎騎手の「エンジンの掛かりの遅さ」という言葉に繋がる。

 たとえるなら、長くて重い刀を振り回す剣豪のイメージ。リーチは長いし破壊力もあるが、小回りが利かないので、一度空振りすればそこまでだし、長い剣を抜ききる前に敗れる場合もあるだろう。

 競走能力のイメージにおいて幸四郎騎手と共有できる部分があったので、桜花賞で10着に敗れても私のこの馬に対する評価は下がらなかった。それはもちろん幸四郎騎手も同じで、彼が松本オーナーにオークスへの出走を進言したのは桜花賞の夜だったという。

 メイショウアヤメのスピードに、グラスワンダー、スズカマンボとスタミナを重ねて三代目。メイショウマンボはオークス馬になった。アヤメからマンボまで15年。年を重ねて時代は変わっても、5月になればアヤメは咲く。人が怠けず丹念な手入れを続ければ。

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千葉サラブレッドセール2013、最高価格はマンカフェ牝馬

 今年の千葉サラブレッドセールは、5月17日の金曜日に行われた。会場になった船橋競馬場は好天に恵まれて、多数の購買者、厩舎・牧場関係者で賑わった。だが、マスコミ関係者の姿は、JRAブリーズアップセールに比べるとかなり少ない。ここ数年同じ顔ぶれしか見ていないような気がする。このセールに対する需要は、プレーヤー側と報じる側とでギャップがあるようだ。競馬ファンとしてはどうなんだろう?

 JRAブリーズアップセールと同様、首都圏で開催されるセール。買い手が来場しやすい場所までわざわざ馬を運んで行われるのだから、売り手にとって自信の商品が集められているのは当たり前。お買い得品や掘り出し物を求めるのであれば、週明けに行われるHBAトレーニングセールに行くべきだろう。ユニクロではなくジョルジオアルマーニのアウトレット、みたいな感じ。

 高額落札馬ベスト3は以下の3頭。私は今回写真を6頭しか撮影しなかったが、3頭は全部抑えてある。「これが高くなるだろう」ということは簡単なチェックで誰にでも当たりがつくのだ。そういう意味では非常にわかりやすいセール。

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 スモークンフローリックの11(牝)。社台ファーム生産、父はマンハッタンカフェ。母はアメリカで重賞6勝の活躍馬で、母系はブラックタイプで真っ黒。半姉のワイルドフラッパーはJRA現役で9戦3勝と、母の繁殖馬としての資質の確かさも実証済みだ。本馬は馬体も見映えがするし、調教供覧で余力充分にマークした10秒7はこの日の最速ラップ。誰もが認めるこの日の超目玉商品だ。この馬が一番価格になったのは売り手の想定通りだろうが、5100万円(税抜き)という落札額は想定を大きく上回っていたそうだ。「タカラ」の村山義男氏が落札、美浦の国枝厩舎に入厩する予定。

 馬体重は470キロ。脚長で豪快なフットワークは父の良駒に共通するもの。スパイラルカーブの船橋でも外に膨れ加減だったように、広いコース向きの本格派と考えて間違いなさそう。リスクは、骨が丈夫なタイプではないことと、気性的に敏感・繊細な面を見せていること。もちろん、双方とも「素軽さ」「反応の良さ」というメリットの裏返しでもある。

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 ランペルティーザの11(牡)。社台ファーム生産、父はダイワメジャー。半兄にランパスインベガス。近親に上級条件での活躍馬が多数いるアベレージの高い牝系の出身で、クズが少ないダイワメジャーとの配合だから、長打力はともかく打率は高そうな馬だ。調教供覧でのラスト1F10秒8は2番時計だが、併走相手が直線でモタレてしまって併せ馬にならなかったことを考えれば、この馬が最速を出していた可能性もある。昨年来の各セールで活発な購買が目立つ三田昌弘氏が4600万円(税抜き)で落札した。馬体重は489キロ。

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 ブローザキャンドルの11(牡)。社台ファーム生産、父はクロフネ、母の父がサンデーサイレンス。母の兄にマイルG1で活躍したテレグノシスなど、近親には重賞級の活躍馬が何頭もいる。調教供覧では2Fから12秒2-11秒4というバランスのいいラップをマーク、反応が良く安定感のある走りが目を引いた。馬体重は478キロ。上記2頭は2月生まれだが本馬は5月生まれで、馬体にはまだ伸びる余地が感じられる。この馬も三田昌弘氏が3400万円(税抜き)で落札した。三田氏はこの2歳世代から新規に参入する馬主さん。

 ちなみにこの写真はセリ場に向かう列に並んでいるところで、撮影のためにiPhoneを向けたら牧場の人に耳立てまでしてもらった。素直な気性もセールスポイント。

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2013年5月19日 (日)

ドミノは止まるか倒れるか

 いろいろと誤算の多かった2歳クラシックで、とくに牝馬はレース毎に勝ち馬が変わった。前哨戦で鮮やかな勝ち方をした馬が次走で人気すると期待に応えられない、というパターンの繰り返し。阪神JFがコレクターアイテムで、チューリップ賞はレッドオーヴァル、桜花賞ではクロフネサプライズ。1番人気馬のドミノ倒しはデニムアンドルビーで止まるのか、どうか。そういうオークス。

■東京11R 第74回優駿牝馬

 混戦なのにオッズとしてはそれなりに序列がつく。馬券戦術としては、単勝を数点、あるいは複勝を数点買うレースだと考える。候補を挙げるなら以下の3頭。

3.メイショウマンボ

 金曜日に白夜書房で行われたイベントで推した馬。桜花賞のパドックで馬の良さを見て度肝を抜かれた。レースでは一発狙って裏目を喰らって10着に敗れたが、そもそもがメリハリの大きなレースをするギャンブルホース。

9.ローブティサージュ

 ほんらいは中距離馬なのに、能力の高さでマイル以下の距離で結果を出してしまった、というのが昨秋の戦歴。年明けは9着、5着と来ているが、スランプというよりも、最大目標に向けて順調な足取りとも考えられる。

15.セレブリティモデル

 オークスの穴馬の宝庫、忘れな草賞の勝ち馬なのに忘れられようとしていないか? 忘れな草賞はレース上がり3Fが37秒6という究極のスタミナ勝負だった。才能のベクトルの大きさは示しているから、レース展開がフィットすれば。

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