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2013年5月20日 (月)

三代目はオークス馬

 オークスの優勝賞金としてJRAが用意するのは9700万円。この原資はいうまでもなくわれわれが購入する馬券の売り上げだが、クラシックの場合は付加賞が大きくて、今年のオークスは3134万6000円に達した(1着馬)。こちらは馬主同士が持ち寄ったお金を上位三者に一定の割合(7:2:1)で配分するもの。いわゆる「ステークスマネー」で、近代競馬の原点といわれる制度のひとつだ。

 今回のオークスでは、優勝したメイショウマンボが桜花賞終了後に200万円の追加登録料を支払っての出走だったことがあきらかになり、ひさしぶりにクラシック登録のことが話題になった。ちなみに、クラシック登録は2歳秋、3歳年始、レースの2週前の3回必要で、登録料はそれぞれ1万、3万、36万円。それぞれの段階で出走意欲のあるレースに登録料(=ステークスマネー)を払う仕組みになっている。たとえば、牝馬として64年ぶりにダービーを制したウオッカは、2歳秋の時点で桜花賞、オークスだけでなく、牡馬の三冠レースへも登録を済ませていた。

 メイショウマンボの場合、桜花賞には登録を済ませていたものの、オークスへの登録がなかった。そのため、オークスに出走するためには、200万円を払って追加登録という救済制度を利用する必要があった。今回のオークスで距離不安を理由にメイショウマンボを嫌った人は、自身の予想を恥じる必要はない。プロの調教師や熟練のオーナーの目を持ってしても、この馬の長い距離への適性を早期に見抜くことはできなかったのだから。

 メイショウマンボの母はメイショウモモカで、祖母がメイショウアヤメ。両馬とももちろん松本好雄氏の所有で、マンボと同じく飯田明弘調教師によって管理された。祖母のメイショウアヤメは新馬戦から芝の短距離戦を2連勝した快速馬で、暮れの2歳G1を使って4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)で権利を獲って桜花賞へ行った。暮れから春までの道のりは孫のメイショウマンボとほぼ重なる。

 道が分かれるのはその次戦で、アヤメは芝1400mの葵Sへ、マンボは芝2400mのオークスに行った。そしてそこでの着順は両馬とも同じ。

 この馬のオークス向きの才能を初めて明確に意識したのは、1月の紅梅Sで騎乗した武幸四郎騎手だったようだ。彼はそれを「大きなストライドとエンジンの掛かりの遅さ」と表現している。乗り役ならではの感性だ。

 パドック派の視点で補うならば、この馬の最大の武器は脚の長さだと思う。それにくわえて肩腰の関節の可動域が狭いので、長い脚をできるだけ長いまま使うようなデザインになっている。ただ、関節の可動域が狭いということは柔軟性に欠けるということで、幸四郎騎手の「エンジンの掛かりの遅さ」という言葉に繋がる。

 たとえるなら、長くて重い刀を振り回す剣豪のイメージ。リーチは長いし破壊力もあるが、小回りが利かないので、一度空振りすればそこまでだし、長い剣を抜ききる前に敗れる場合もあるだろう。

 競走能力のイメージにおいて幸四郎騎手と共有できる部分があったので、桜花賞で10着に敗れても私のこの馬に対する評価は下がらなかった。それはもちろん幸四郎騎手も同じで、彼が松本オーナーにオークスへの出走を進言したのは桜花賞の夜だったという。

 メイショウアヤメのスピードに、グラスワンダー、スズカマンボとスタミナを重ねて三代目。メイショウマンボはオークス馬になった。アヤメからマンボまで15年。年を重ねて時代は変わっても、5月になればアヤメは咲く。人が怠けず丹念な手入れを続ければ。

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