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2013年6月23日 (日)

ジェンティルドンナ、アイドルをめざす

 『あまちゃん』が終わってしまった。正確には第一部が終わっただけだが、幸せだった北三陸編にはもう戻れない。

 来週から始まる東京編では、アキは東京に行ってアイドルをめざす。ショービズ業界の裏側のドロドロしたお話になって、北三陸の自然も出てこなければ、クセはあるが情に厚い田舎の人々の出番も少なくなる。いままでに比べてある程度の「欝展開」になることは必至だ。

 起承転結の「転」の部分。物語に深みを出すためにはどうしても必要な陰影だが、連続テレビ小説でそれが毎朝続くと、見ている側にも欝が伝染ってしまう。ちょっとした苦行であり、ここで脱落を強いられるドラマは少なくなかった。

 逆に考えれば、この欝パートをいかに楽しく乗り切るかが、稀代のコメディ作家宮藤官九郎の腕の見せ所だし、能年玲奈にとってはコメディエンヌとしての試金石になるだろう。

■阪神11R 第54回宝塚記念

 宝塚記念は、いつまで経ってもしっくり来ない変なメロディのファンファーレとともに始まる。別名「夏のグランプリ」。今年はG1馬4頭による四強対決になる予定だったが、大看板のオルフェーヴルが一週前に肺出血を発症して離脱。出走していたらおそらく1番人気になっていたと思うが、不在になったことでどうやら1番人気はジェンティルドンナになりそうだ。

 ジェンティルドンナは、これまでの国内G1競走4戦4勝のうち、1番人気になったのは秋華賞の1回だけ。これだけの名馬なのにこの馬がいまいちアイドル視されていないのは、1番人気の少なさが大きな原因だと思う。大勢のファンの期待を背負い、注目を浴び、欲望を引き受け、感情を動かし、物語を共有して、初めてアイドルは誕生する。今回ジェンティルドンナが大レースで初めて1番人気になることは、この馬のアイドルへの第一歩と考えられる。いわばアイドル編の始まりだ。いやあ、今回のまとめはいつもにまして無理やりだったな。

◎ 11.ジェンティルドンナ
○ 3.フェノーメノ
▲ 10.ゴールドシップ
注 4.ダノンバラード

 ムードは三強。しかし実質的には一強。イメージと実質のギャップを埋めようと残る二頭が動けば、そこから破れ目が広がってレースの綾が発生する可能性はある。妙味はダノンバラード。2歳時にラジオNIKKEI杯を勝った待望の阪神内回りで、皐月賞3着の渋太い脚を活かしたい。

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2013年6月22日 (土)

勝ち切るための馬券心理学

 私は自己啓発本が好きで、齋藤孝さんの著書なんかは4、5冊持っている。自己啓発本とは、ダメな自分を再発見して「これじゃいかん。これを読んで頑張ろう!」と自分にハッパをかけるための道具である。だから、自分に自信を持っている人は自己啓発本なんか買わないし、ましてや類書を何冊も買うなんて愚の骨頂と嘲笑われそうだ。でも「すべての馬券本は自己啓発本である」という名言もあることだし、競馬マスコミ業界にいる人間としてはこのジャンルから目を離すわけにはいかない。

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 ということで、伊丹治生さんの新著『勝ち切るための馬券心理学』の紹介である。ちなみに新刊は左で、右側の付箋がペタペタ貼り付けられているのは、3年前に出版された伊丹氏の前著『勝てる思考の馬券術』である。私はいつも「ここ大事だ! あとでまた読もう」と思ったところに付箋を貼るのだが、付箋を貼ったことに安心してしまって、もう二度と開かないであっさり忘れてしまう。これを心理学の用語で「付箋ブラインド効果」という。嘘です。いま考えました。

 副題は「なぜ、日曜最終の大勝負を止められないのか」。本書のなかには他にも「遠くの競馬場まで遠征するとつい財布の紐がゆるんでしまう」「締め切り間際に予想をしていい加減な馬券を買ってしまう」などの章があり、競馬ファンの心をチクチクと刺激する。ああ、いつもの俺じゃないか。これじゃいかん。これを読んで頑張ろう!

 簡単に言えば、本書は馬券版「心を整える」ための本である。ちなみに、新刊はアドバンスドで、より踏み込んだ内容になっている。この題材に興味を持った人にとって、間口が広いのは前著『勝てる思考の馬券術』の方だと思うので、重ねてお薦めしたい。

『勝ち切るための馬券心理学~なぜ、日曜最終の大勝負を止められないのか~』

『勝てる思考の馬券術~なぜ馬券を買わなかったときに限って狙い馬が走るのか~』

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2013年6月20日 (木)

先週の新馬・未勝利戦

 先週からは早くも2歳未勝利戦がスタート。函館もオープン、ダート戦も始まって、これでようやく出し物が揃った感じだ。先週の2歳戦からのピックアップは、オールパーパス、シャークベイの二頭にする。

●函館初日の芝1000m新馬は、ファソンが楽なペースでハナを切ってスイスイと逃げ切った。レースぶりにスムーズさを欠く馬が多かったなか、唯一スムーズに行ったのがこの馬。直線を向いたときにはもうどうしようもない隊列になっていて、「1000mならでは」というレースだった。レース内容で評価するなら、不利を受けて2着に敗れたシュバリエもまったく劣っていなかった。これで勝負付けが済んだとは言えない。ステークスでは待ってろよ。

●函館2日目の芝1200m戦は、ストラテジーの初仔オールパーパスが快勝した。スピードがあるのに抑えが利いて、2番手追走から逃げ馬を競り落とす、という教科書通りのレースぶり。好時計での快勝にくわえ、岩田騎手からは「ギアがまだセカンドのままだった」というしびれるコメントのオマケも付いて、函館2歳ステークスで人気になることはもう約束されたようなものだ。2着に逃げ粘ったツクバジャパンは、母のウェディングバレーを彷彿とさせる芦毛の快速馬。大型馬で叩いての上積みは大きく、この馬もステークスの出走表に名を連ねることになるのではないか。

●阪神5日目には初めてのダート新馬(1200m)が行われ、グランシェリーが凄みのある競馬で断然人気に応えた。直線で狭いところに入ってしまい、ようやく前がクリアーになったのが残り200m少々。傍目にはピンチにも見えたが、手応えが抜群だったのだろう、浜中騎手はまったく動じなかった。前を行く2頭の隙間、ちょうど一頭分に馬を導くと、あっさりと抜け出してしまった。着差はクビだが、能力上位は歴然という競馬ぶりだ。4月のJRAブリーズアップセール出身馬で、落札価格は「お買い得」と言える714万円。セールでは飛び抜けて目立っていたわけではなく「優等生の一頭」という感じだったが、本セールからの新馬勝ちはこの馬が第一号となった。

●阪神6日目の芝1400m戦は、テンの2Fから24.8-37.1というスローペース。西の新馬は小頭数がデフォルトなので、いったん緩むと調教モードというか、とにかくとことん遅くなる。断然人気のデリッツァリモーネは出脚が一息で思うように動けず、直線に向いたときには圏外という位置取り。ヤマニンアリエッタにとっては「直線で逃げ馬を潰すだけ」の簡単なお仕事になった。とにかく前半が楽だったので「立ち回りの良さが光った」という評価になってしまう。阪神ではまたまた牝馬の勝ち上がりで、未勝利も含めて先週までの2歳戦の勝ち馬7頭中6頭が牝馬である。

●東京5日目のダート1400m戦は、前の並びがなかなか決まらず厳しい流れになって、直線では前と後ろがそっくり入れ替わった。断然人気のシャークベイが余裕を持って抜け出し掛けたところにどんでん返し。大外からアンズチャンが飛んできて並ぶ間もなく交わし去った。馬場は軽かったし展開も向いたが、1.25.5という勝ちタイムはべらぼうに速い。プラタナス賞かと思うくらいだ。ただ、勝ちっぷりがあまりにもド派手だっただけに、二番が利くかとなると微妙ではある。強襲を喰らって敗れはしたものの、シャークベイの豪快な走りも目を引いた。本レースからの注目馬としてはこちらを上に採りたい。

●東京6日目の芝1600m戦では、この世代最初のディープインパクト産駒リターンラルクが登場。大外一気の大逆転で断然人気に応えた。重馬場のスローペースで、直線では前と後ろが入れ替わる、という謎のレース展開。メンバー的なレベルには正直疑問が残る。ただし、リターンラルク自身は直線で手前を替えないまま走っていて、今回は「能力の一端を見せた」という程度の走りだったと思う。今後の上積みは大きいはず。

●阪神5日目の芝1200未勝利は、エイシンオルドス組の2・3着馬が時計を詰めてワンツーを決めた。勝ったマダムリシェスのセンスとスピードもさることながら、エイシンオルドスの評価が高まることになった。東京5日目の芝1400m未勝利は、トーセンシルエット組の折り返しだが、前回と着順が入れ替わって入線。渋った馬場での1.23.1という高速決着をマキャビティが制した。社台ファームの生産馬は、この馬で3頭目の勝ち上がり。「社台ファーム育成」という括りでは、白老生産のイスラボニータも入って4頭になる。社台ファームの例年にない好ダッシュは、この世代から始めた夜間放牧の成果の表れだろうか。と結論に飛びつくのはあまりに早急だが、「社台ファームの逆襲なるか?」というテーマは今シーズンの縦軸のひとつになる。注目したい。

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先々週の新馬戦

 新馬戦開始2週目にして早くも一週分積み残してしまって、この先どうなるのか? 不安で一杯の2歳戦回顧だが、ボチボチ進めていこうと思う。2週目の個人的ハイライトは、なんといってもウインマーレライ。負けはしたけど抱腹絶倒のレースぶりで、おおいに楽しませてくれた。公開ドラフトで2位に指名したとき、会場の「早すぎだろ」という空気をヒシヒシと感じたが、私がこの馬にイレ込んだ理由の一端は、この一戦でわかっていただけたのではないかと思う。ウインマーレライを指名した皆さん、一緒に楽しみましょう。

●阪神3日目の芝1200mは、マラムデール対イスルギ。外からスムーズに抜け出したイスルギに対して、直線を向いて狭いところに入ったマラムデールの追い出しが遅れたが、坂を上がって手前を替えると再加速。内から一気に伸びてピンチを脱した。ゴール前で見せた瞬発力は、9つ上の全姉ライラプスのデビュー戦をたしかに思い出させるものがあった。この場合の瞬発力は「加速の速さ」といった意味合いで、スローの小回りはベスト条件のひとつだったと思う。これでいったん放牧に出て次は函館に向かうとのこと。まだ線の細さが残っていて、早生まれながら成長の余地は充分だ。

●阪神4日目の芝1400mは、評判馬が揃って賑やかな顔ぶれになったが、単勝34倍、ノーマークのタニノギムレット産駒ダンツキャノンが逃げ切った。クールオープニングは前が壁、ディーエスハーツも内で捌くのに手間取り、スペランツァデーアは直線だけの競馬と、みんな不発。ケイティーズスターだけは外に出してから迫力のある脚で前に迫り、3着まで追い上げたが、展開不利を覆すところまではいかなかった。1着から8着まで0.4秒差で入線、「展開がすべて」というレースだった。この組の評価は微妙だが、見直したい馬は何頭もいる。

●東京3日目の芝1400mは、新種牡馬のマツリダゴッホ産駒のマイネルギャルソンが番手から抜け出して完勝。この時期としては時計も速く、ただしく「スピードの違いを見せつけた」という勝ちっぷりだった。マツリダゴッホ産駒は総じて前向きで仕上がりが早く、育成場の評判が高かったが、その走りは競馬場でも目立っている。けっして早熟のスピードタイプではないのに、種牡馬として好スタートを決めたのを鑑みるに「産駒に伝えるベースとしてのスピード値が高い」という印象。岡田繁幸さんが仰っていたように「スーパーサイアー」になる可能性を秘めている。

 人気のもう一頭、レッドラウディーはテンションが高かったし、仕上がり自体ももうひとつ。そろっと乗って直線だけで2着に突っ込んできて「力のあるところは示した」というデビュー戦だった。素質の高さは疑う余地がないが、あまり厳しく攻められていないのにかかわらず、煩い面を見せていたのは心配材料。とにかく落ち着きが出ないことには始まらない。使ったことでどう変わるか。ノーザンファーム天栄でリフレッシュしての次走、あらためて注目したい。

●東京4日目の芝1800mは、好位を進んだマイネルフロストが最内の狭いところから抜け出して1着、最後方から大外に持ち出したウインマーレライが左右に大きく蛇行しながら伸びて2着。高木登厩舎の所属馬がワンツーを決めた。両馬の推定上がり3Fは33.4秒と33.2秒。その下が4着トゥルーモーションの33.9秒だから、ここでは二頭の能力が突出していたということ。マイネルフロストは追い切りで後れをとったことで人気の盲点になったが、遅れた相手がウインマーレライだからしようがない。そのウインマーレライは若さ全開の走りっぷりで初戦を落としたものの、能力の証明という意味では普通に勝つよりもずっと価値のあるレースだった。今回の粗相の原因は、気性難というよりも「好奇心が旺盛すぎたのだ」と好意的に考えている(贔屓とも言う)。次走は福島で未勝利勝ちを目指すとのことで、変わってほしいものだ。

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2013年6月 8日 (土)

競馬王7月号

 来週から函館競馬。長い長い3ヶ月ロングランのスタートです。かつてなかった試練に函館の芝コースはどうなってしまうのか?

 昨日発売の競馬王7月号では「どうなる!?函館12週連続開催」と題して、コースの鬼こと城崎哲氏が6ページに渡って徹底解析しています。たとえば、4年前の札幌12週連続開催はどうだったか。あるいは一昨年の函館8週間はどうだったか。城崎氏は、上位に入線した馬が通った場所を目視で集計してコースバイアスを測定、そこからの演繹で今夏の函館を予測しています。なんという労作! 読み応え充分です。馬場読みはサイエンスであり、陰謀論もオカルトも必要ありません。とても勉強になります。

 他では、グラサン師匠のマンガが先日行われた公開ドラフトのレポートだし、人気馬のクロスレビューもあったりと、POG関連の特集が充実しています。すでにドラフトが終わったグループも多いと思いますが、まだの人はぜひお手にとってご覧ください。ちなみにマンガには私も出ています。当日は千葉セリ帰りで、目が疲れていたのでコンタクトを外して眼鏡をかけての出演でしたが、マンガでは眼鏡をかけていない! べつに師匠が手を抜いたのではなく、マンガ上のキャラがブレるからです。

「一口馬主、駆け込み出資で当たりを引く!」という企画では、いまから買える各クラブの2歳馬を紹介。POGの検討で2歳馬の勉強を積み重ねたあなた! さめやらぬ熱意をそっくり一口に注いではいかが? ちなみに私も1ページもらって原稿を書きました。シルクホースクラブの本拠地・福島県天栄村についてのお話です。

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2013年6月 7日 (金)

先週の新馬戦

 この時期の西の新馬は小頭数が当たり前で、去年6月の阪神・中京では12頭立てが最高だった。先週の土日は5頭、7頭。とくに日曜の芝1200は週中の想定が2頭立てで、危うく不成立の可能性もあった。

 各厩舎の預託可能頭数が貸付馬房の3倍から今春には2.5倍まで引き下げられたが、このルール変更は栗東の人気厩舎への影響が大きく、上位厩舎は軒並み2歳馬の入厩が遅れている。今夏の2歳戦が低調になる可能性は考えておきたい。

●阪神初日の芝1600m新馬はかつてアヴェンチュラやラウンドワールドなどが出た開幕週の名物レース。今年は最終週の予定を繰り上げたレッドリヴェールを含めて5頭立てで、いわずもがなのスローの上がり勝負を制して、そのレッドリヴェールが勝った。レースの上がり2Fが10.5-11.2。スプリント戦のスタート並みのダッシュ力勝負で、レッドリヴェールと2着馬で後続を4馬身置き去りにした。レッドリヴェールの猛然たるピッチ走法を見て、私は兄のアグネスデキシイを思い出してしまった。現状の評価は「すごく速い脚が使える馬」という感じ。新潟に行くにしろ札幌に行くにしろ、ステークスに直行するならどちらも適性は微妙にずれるので、もう一走見せてもらいたいところ。

●阪神二日目の芝1200mは、断然人気のエイシンオルドスが好発を決めておいでおいでの完勝。最後は流していたし、この馬にとっては強めの追い切りに近い感じだったのではないか。どこかですごい脚を使ったとかではなく、相手に恵まれたレースでレベル自体は普通。それでも今夏のメンツが薄い2歳戦ならば無双してしまうんだろう。真価を図るのは次走以降ということで。ちなみに全妹のエイシンキンチェムはJRA経由でブリーズアップセール出身だったが、この馬は庭先取引だから当然岡山育ち。JRAと栄進牧場と、育成の違いを考えながら両馬を比較するのも面白い。

●東京初日の芝1400m戦は、去年に続いて今年も荒れた。仕上がり・立ち回り・やる気でなんとかなる条件なのかもしれない。去年はミルファームのインティワタナが勝ったが、今年のトーセンシルエットは小見川のエスティファームから5月9日に美浦に入厩したばかり。この馬は生産も日高のエスティファームで、セールで外ればっかり引かされた島川オーナーが「もういい!自分で全部やる!」と言い出して手がけたプロジェクトの賜物だ(大嘘)。この馬のレースセンスの良さは育成部門の手腕によるところが大だろう。

●東京二日目の芝1600m戦はなかなかメンバーが揃ったが、そのなかでもイスラボニータが一枚抜けていた。集中していなかったのでゲートは遅れたが、それでもハンデとしては足りないくらい。抜け出して遊びながらも後続の追随を許さない完勝だった。今週ナンバーワンのインパクト新馬。モントボーゲンは直線で前がなかなか開かず3着に敗れたが、レース内容は良くこの馬も評判通りの走りだった。パーリーシェルは内で詰まって一旦後退したが、坂上で切れる脚を使って2着。頭の高い走りは父のマツリダゴッホにそっくりで、あの切れは小回りコースで活きそう。関西からの遠征カレンマタドールは前半全然行く気を見せなかったが、直線では良い脚を使って力のあるところを見せた。次に期待をつなげる5着。

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