名画座と競馬場
元日は1日なので映画の日でもある。毎年この日は名画座に『男はつらいよ』を観にいくことにしている。年末年始の寅さん大会は名画座の人気メニューで、どの劇場でやっても大勢のお客さんが集まる。いまやレンタルショップで100円出せば借りられる映画をなぜ1000円も払って観にいくのか? しかもこれまでに何度も観たことのある映画なのに。
私の場合それは「コメディだから」という理由が大きい。よく、コメディ映画は観客の笑い声を足してはじめて完成する、言われる。欧米人と違って日本人は映画鑑賞中はおとなしいものだが、コメディでは話は別だ。コメディ映画は大人数で観た方が盛り上がる。周りの笑い声に乗せられてテンションが上がったり、より集中したりと、一人で観ているときにはない相乗効果が味わえる。
今日のある回では、上映終了の瞬間に自然と拍手が巻き起こった。「映画で拍手って、なんでだ?」と普通は思うだろうが、しかしそのときは場がそういう空気になったのだ。たまにこういうことがあるから、できるだけ劇場に足を運ぼうという気持ちになる。
競馬ライターとしてはここで「みなさん競馬場にも足を…」という論に持っていきたいところだが、現実問題はそう簡単ではない。携帯端末でどこでも馬券が買えるこの時代に現場派というのはいかにもオールドスタイルだ。競馬場は寒いし、あるいは暑いし、動き回るのは疲れるし、席取りやパドックでの陣取りなどさまざまなストレス源が存在する。いつの間にか足が遠のくのも当たり前のこと。
ただ、競馬場(レース場)の魅力はたしかにある。大レースの行われるわずか数分間に場内の数万人が一斉に集中・熱狂する光景は、公営ギャンブル以外ではほとんど味わえない。大レースが終わった直後に、競馬場ではちょくちょく雨が降るが、あれは大観衆の熱気が上昇気流になって上空に雲が発生するから。これまでワールドカップでもオリンピックでもそういう現象はなかったはずだ。
最近は綺麗な施設も増えたが、本質的に競馬場はストレスがあふれる環境だ。だからこそ、競馬場ではできるだけ楽しく過ごしたい。努力して楽しく過ごそうとすべきだと思う。そしてギャンブルでは、ニコニコしているやつのところに運が行く。今年も競馬を楽しみましょう。
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