『あまちゃん』が終わってしまった。正確には第一部が終わっただけだが、幸せだった北三陸編にはもう戻れない。
来週から始まる東京編では、アキは東京に行ってアイドルをめざす。ショービズ業界の裏側のドロドロしたお話になって、北三陸の自然も出てこなければ、クセはあるが情に厚い田舎の人々の出番も少なくなる。いままでに比べてある程度の「欝展開」になることは必至だ。
起承転結の「転」の部分。物語に深みを出すためにはどうしても必要な陰影だが、連続テレビ小説でそれが毎朝続くと、見ている側にも欝が伝染ってしまう。ちょっとした苦行であり、ここで脱落を強いられるドラマは少なくなかった。
逆に考えれば、この欝パートをいかに楽しく乗り切るかが、稀代のコメディ作家宮藤官九郎の腕の見せ所だし、能年玲奈にとってはコメディエンヌとしての試金石になるだろう。
■阪神11R 第54回宝塚記念
宝塚記念は、いつまで経ってもしっくり来ない変なメロディのファンファーレとともに始まる。別名「夏のグランプリ」。今年はG1馬4頭による四強対決になる予定だったが、大看板のオルフェーヴルが一週前に肺出血を発症して離脱。出走していたらおそらく1番人気になっていたと思うが、不在になったことでどうやら1番人気はジェンティルドンナになりそうだ。
ジェンティルドンナは、これまでの国内G1競走4戦4勝のうち、1番人気になったのは秋華賞の1回だけ。これだけの名馬なのにこの馬がいまいちアイドル視されていないのは、1番人気の少なさが大きな原因だと思う。大勢のファンの期待を背負い、注目を浴び、欲望を引き受け、感情を動かし、物語を共有して、初めてアイドルは誕生する。今回ジェンティルドンナが大レースで初めて1番人気になることは、この馬のアイドルへの第一歩と考えられる。いわばアイドル編の始まりだ。いやあ、今回のまとめはいつもにまして無理やりだったな。
◎ 11.ジェンティルドンナ
○ 3.フェノーメノ
▲ 10.ゴールドシップ
注 4.ダノンバラード
ムードは三強。しかし実質的には一強。イメージと実質のギャップを埋めようと残る二頭が動けば、そこから破れ目が広がってレースの綾が発生する可能性はある。妙味はダノンバラード。2歳時にラジオNIKKEI杯を勝った待望の阪神内回りで、皐月賞3着の渋太い脚を活かしたい。