2011年2月20日 (日)

我慢するセンス

 ダイヤモンドSやステイヤーズSはよく「マラソンレース」と言われます。しかし、栄えある千葉マリンマラソン21.0975キロの完走者である私に言わせれば、3.4キロや3.6キロぽっちでマラソン呼ばわりなんて、片腹が痛いですよ!

 というのは嘘です。実際のレース(といっても市民マラソン)を経験してみて、競馬の長距離レースの厳しさや醍醐味がより深く理解できるようになった気がします。私が痛感したのは「マラソンレースでは我慢がものすごく大事だ」ということ。

 大規模なレースではとくにそうですが、コース上は大勢のランナーであふれかえります。各人のペースはバラバラですから、レースが始まってしばらくは自分の走りたいペースで走るのは困難です。だからといって、気持ちよく走れるようにスピードアップして遅いランナーをどんどん追い抜いていくと、今度は最後まで脚が持たなくなります。

 多数のライバルたちとかぎられたスペースを共有しつつ、譲るところは譲って出るところは出る。このさじ加減がレースの難しさであり、また楽しさでもあります。実際に参加してみてはじめて実感できたことでした。だからこそ、はじめてのレースで満足のいく走りをすることは難しいと言われるのでしょう。

 土曜日に行われたダイヤモンドSを勝ったのはコスモメドウ。あ、ここから無理やり競馬の話に繋げますよ。コスモメドウは前走で3000mの万葉Sを勝ちましたが、3000m級のいわばフルマラソンへの出走は初めてでした。3000m級では1F14秒近いラップまで落ち込むこともあって、2500m前後のハーフマラソンとはまた違った流れになります。

 初めての経験でコスモメドウは道中行きたがるそぶりを見せながらも、我慢が利いて最後は2馬身差の完勝。ハンデ戦ではありましたが、経験者を相手に初マラソンを勝ったようなものですから、マラソンセンスの高さは疑う余地もありません。

 ダイヤモンドSではマラソン2回目ということもあって、折り合いはよりスムーズに。強化されたメンバーを相手に3コーナーから動いて行く正攻法で堂々と渡り合い、最後は余力充分にまた2馬身抜け出しました。重賞は初挑戦にして初勝利。初マラソンを勝って初重賞を勝って、じゃあ初G1はどうでしょう? 春の天皇賞路線に楽しみな馬が現れたものです。

□東京11R 第28回フェブラリーS

 日曜のメインレースは、今年の(JRAにおける)初G1・フェブラリーS、東京ダートの1600mです。マラソンと言うにはほど遠い条件で「我慢するセンス」はそれほど求められません。力と力の争いになります。スタート直後に芝コースを横切るところだけは疵ですが、スピードと底力が問われる素晴らしいコースだと思います。今年も熱い戦いを期待したいものです。

◎ 13.フリオーソ
○ 5.バーディバーディ
▲ 12.トランセンド
注 15.シルクメビウス
△ 14.セイクリムズン
△ 3.ダイショウジェット

 力量的にはフリオーソがずば抜けていることは、誰もが認めるとおり。難点は中央競馬での実績がないことです。そもそも中央競馬への参戦自体が2年以上途絶えています。

 ただし、前回のJRAでのレースになる2008年のジャパンカップダートは悪い内容ではありません。右回り経験のないアメリカ馬の外につけたため、4コーナーでは押しつけられて外側の馬との間で挟まれる形に。厳しいレースを強いられましたが、直線では一旦先頭に立って見せ場充分の内容でした。あれを見れば「フリオーソは中央のダートに適性がない」なんてトンチンカンなことはけっして言えないと思います。

 ただし、フリオーソが高いポテンシャルのわりにはポカがある馬であることは否定しません。その理由はなぜか? この馬は「我慢するセンス」があまり高くないのだと推測しています。柔軟な肩腰と頑健な筋肉に裏打ちされた「でっかいストライド」でのびのび走ることを好む馬なのです。

 去年のダイオライト記念。地元船橋での交流G2戦で、勝って当たり前という相手関係でしたが、ハナに立ったところをフサイチセブンにぴったりマークされてリズムを崩し、まさかの5着に敗れてしまいました。フサイチセブンに騎乗していたのは、内田博幸騎手。中央に移籍する前はフリオーソの主戦を務めていた人ですから、フリオーソの弱点は当然熟知しています。

 また、昨年の川崎記念ではヴァーミリアンと火の出るような叩き合いを繰り広げて2着に惜敗しました。あのレースはフリオーソが逃げてヴァーミリアンが2番手でマークする形。ヴァーミリアンに乗っていた武豊騎手は、スタート直後に行く構えを見せてフリオーソをおびき出し、相手を先頭に立たせたところでいったんブレーキ、そのあとあらためて外につけているんです。ヴァーミリアンの方が内の枠だったのに。詳しくは昨年の川崎記念回顧を参照。おそらく、武豊騎手も知っていますね。あるいは「感じている」と言った方がいいかもしれませんが。

 フリオーソが中央のレースで信用できないとしたら、それはコース形態とか砂質の問題ではないと思います。いつも実質4~5頭の戦いになる地方交流重賞と違って、中央のレースでは実力の近接した馬が多数いるため、「俺様の走り」をすることが困難になるからなのだと見ています。

 そこで、東京ダート1600ですよ。コーナー二つの広々としたコースでは、道中での細かいゴーストップ操作はそれほど要求されません。スタート直後の芝はありますが、全体として収支計算すれば、東京ダート1600はフリオーソの味方になる可能性が高いと見ます。

 つまり「東京ダート1600だからこそ」フリオーソ。今回は枠順も良くて、外側には自身より速い馬がいないのは好都合です。もっとも、このレース自体にフリオーソより速い馬は数えるほどしか出ていないのですが。

 デムーロ騎手はフリオーソには2回目の騎乗になります。前回の騎乗が先述の川崎記念でした。王者ヴァーミリアンを負かす一歩手前まで追い詰めたとはいえ、痛恨の敗戦だったに違いありません。幸運なことに、挽回のチャンスは巡ってきました。

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2011年2月 4日 (金)

惰性は友達、坂は敵

 先々週の日曜日に行われた千葉マリンマラソンに参加してきました。生涯で初めてのハーフマラソンでしたが、見事に完走を果たしました。タイムは1時間58分54秒(ネットタイム=実走時間)。練習不足だったにもかかわらず、目標としていた「2時間以内完走」を達成することができました。はい、拍手! いやあ、どうもどうも、ありがとうありがとう。

 マラソンを走ったことがない人は、ゴールすればつらさや苦しみから解放されるものと思うかもしれません。でもそうではありません。市民ランナーがマラソンを走る上で一番大事なことは、「ゴールした翌日に元気で仕事に出かけること」です。その意味では、私の初ハーフマラソンは大失敗でした。両脚のかかとから付け根まで、びっしりと筋肉痛に襲われて、数日間まともに歩けない状態になってしまいました。

 ハーフマラソンの20キロ強を走るのに、想像していたほど体力は必要ありませんでした。しかし、筋肉痛の両脚を抱えて何日も日常生活を送ることによる消耗は想像を超えていました。マラソンから三日たった水曜日、筋肉痛がマシになるころには身体の抵抗力がかなり落ちていたのでしょう。無理と寒さが祟ってハードな風邪をひいてしまったのです。

 全体としては悲惨な初ハーフマラソンになりましたが、無理をしない佑樹、じゃなかった無理をしない勇気の大切さを文字通り身体で学べたのは貴重な体験でした。事前にしっかり準備をしておけば、本番で無理をする必要なんてありません。

□小倉11R 第45回小倉大賞典

 ここから競馬の話です。フィクションが入りますよ。ノンフィクションのつもりで書きますけど、結果的に嘘になったらごめんなさい。

 千葉マリンマラソンは海沿いの埋め立て地を走るので、コースはほとんど平坦なのですが、ゴール前3キロほどの地点で陸橋を上り下りしなければなりません。それほどの急勾配ではないはずですが、すでに筋肉痛で動かない脚を抱えていた私にとっては中山競馬場の急坂以上に思えました。

 一歩一歩、重力と傾斜が推進力を奪い取ろうとします。私にとって頼れる味方は「惰性」だけでした。いま動いているから、次の一歩を踏み出せる。はずだ。生まれてからあれほど慣性の法則のありがたさを思い知った日はありません。いや、ここらへん、すでにちょっとフィクション入っているな。

◎ 3.リルダヴァル

 小倉競馬場のスタンド前直線には坂がありません。なんて素晴らしい競馬場なのでしょう! 昔々、関西にはゴール前に坂がある競馬場がなかったので「関西馬が関東に行って通用しない理由はそこにある」と言われていたものです。それがいまでは、阪神に続いて中京にもゴール前に上りが設置されるのですから、時代は変わりました。

 リルダヴァルの新馬戦は小倉芝1800メートル。小倉大賞典と同じコースでした。前に行った人気薄の馬が楽なペースで逃げ粘る展開を、4コーナーで大外を回っての差し切り勝ち。最後まで手前を替えないままの余裕の走りで、度肝を抜かれるようなデビュー戦でした。

 この馬は骨格の大きさのわりに骨量があまりなくて、後肢の筋肉量もまだ充分ではありません。速いペースを追いかけて長く良い脚を使って、素晴らしい時計でG1を3着(NHKマイルC)したかと思えば、オープン特別でもゴール前で詰めの甘さを見せて負けたりと裏表の激しい馬ですが、私には彼の気持ちが痛いほどよくわかります。坂が苦手なだけなんだよね、リル。

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