2013年8月 9日 (金)

クラシックチャートはじめました

 前エントリの続き。軽く引き受けた仕事とは…、という引きでした。

 クラシックチャート。競馬王9月号ではこんな感じです。

Classic_chart_2

 イラストに描かれた3人のオッサンが、クラシックをめざす若馬たちを10点満点で採点します。ちなみに私のイラストは、短髪になった最新バージョンに更新されています。ジャッジ3人というのはボクシング風ですね。今回は5頭を採り上げました。一番の高得点は30点満点で24点でした。なお、点数は0.5点刻みです。

 で、三人のうち(ヒマな)私に関しては、ページで採り上げる有名どころ5頭とは別に「勝ち上がり全馬」について評価点を出してくれないか、という依頼を受けました。ちょうどこの世代はブログ上で勝ち上がり全馬について「なにか書く」という作業を始めたところだったので、ちょうどいいや(ヒマだし)。やりましょう。

 今回のクラシックチャートはパイロット版で、新コーナーというわけではないのですが、次号以降も継続される含みはあります。今月はスタートから7月半ばまでの6週分・61頭が評価対象でしたが、秋・冬には新馬・未勝利戦のレース数は2ヶ月間で200を超えます。新馬戦が終わる時期まで全部合計すると、昨シーズンの場合は657ありました。650頭分の通信簿。学校の担任でもせいぜい40人とかです。

 ブログ上で展開していた勝ち上がりレビューは、馬券で役立つフックを見つけることがおもな目的で、「独断と偏見」を旨としていました。もちろん、競馬王誌上に出す「勝ち上がり全頭診断」も私の主観には違いありません。でもね、650回もストライク・ボールの判定をするわけです。好き嫌いを排除してシステマティックに進めないと、ストライクゾーンがぶれまくって早晩破綻することは目に見えています。よく皆さん「ジャンパイア」とか「虎パイア」とか「マリパイア」とか言いますが、野球の主審になると1試合300球とか判定するなかで、そんな恣意的な匙加減、絶対に無理だと思いました。

 ということで、全頭診断始めました。関係なさっている馬について低い点が入っている場合も当然あるので「コンチクショー」と思う方もいるでしょうが、あえて言い訳もせず頭も下げず、淡々とやっていきます。けなされることがあってもほめられることのない仕事です。

 また、ブログの勝ち上がりレビューも形式を一変させます。すでにブログで書いた分についても全頭評価の見直しを行ったので、けなした馬があんがい良い点だった、というケースもありました。そこらへんもボチボチ追っかけながらフォローしていきます。

 これは競馬王誌上にも書いたことですが、あくまでもダービールールのPOGにピントを合わせた評価なので、短距離やダートに適性があると判断した馬については、評点の上限を低く設定してあり、点数の出方が辛くなっています。

 評価の基準についてひとつ目安を示すと、たとえば今春のクラシック+NHKマイルCに出走した馬は全部で70頭。私の評価点もこれに沿って、具体的には「7~10」の4段階で72頭になるように調整しています。7点以上は全体の11%。「7」をつけた馬はすべて「エリート」と考えています。

 また、「0.5」で刻むと煩雑になるので、できるだけ整数にするつもりでしたが、完成した誌面を見たら、小数点以下を使うのを前提としたレイアウトになっているじゃないですか。整数ばかりだと見た目が軽くマヌケなので、次号以降は積極的に0.5を出していきます。その場合0.5は「引き算」ではなく「足し算」と思ってください。ちなみに今号でつけた0.5はただ一頭。マイネグレヴィルが7.5でした。

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競馬王9月号

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 競馬王9月号が発売になりました。白夜書房から出る競馬王としては、今号が最後になります。読者の人にとってはなにが変わるわけではありませんが、次号からは新会社『ガイドワークス』による編集・発売になります。新会社には編集者はそっくり移籍しますし、デザイナー、カメラマンもこれまでと変わりありません。もちろんライターも。たぶん…。

 今号では『2.5倍ルールのなにが問題なのか?』という副題で、今春からのJRAの在籍頭数制限の新ルールについて、当事者でもある矢作芳人調教師に語っていただきました。

 角居教教師が自身のブログで来年の1歳馬を預託しないことを発表して波紋を呼びましたが、具体的にはどのような影響があるのでしょうか。JRA切っての知性派調教師・矢作師が説明してくれています。取材と構成は横手の担当なので、わかりづらかったら私の責任です。矢作師と角居師がセレクトセールの会場で交わしたナイショ話も収録させてもらいました。ちなみに今号では、サンスポの柴田章利さんも自身の連載でこの問題について扱っています。

 それから、今号では新しい2歳馬企画がスタート。その名も『クラシックチャート』。ファミ通のクロスレビュー風に2歳の勝ち上がり馬を3人の評者が採点するコーナーです。ラップの上田琢巳さん、血統の栗山求さんと一緒に並んでいるのが、私ことジャッジ横手。軽い気持ちで引き受けた仕事でしたが、じつは嵐の前触れだった。…という話は、エントリをあらためて、昼にでもまた。

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2013年6月22日 (土)

勝ち切るための馬券心理学

 私は自己啓発本が好きで、齋藤孝さんの著書なんかは4、5冊持っている。自己啓発本とは、ダメな自分を再発見して「これじゃいかん。これを読んで頑張ろう!」と自分にハッパをかけるための道具である。だから、自分に自信を持っている人は自己啓発本なんか買わないし、ましてや類書を何冊も買うなんて愚の骨頂と嘲笑われそうだ。でも「すべての馬券本は自己啓発本である」という名言もあることだし、競馬マスコミ業界にいる人間としてはこのジャンルから目を離すわけにはいかない。

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 ということで、伊丹治生さんの新著『勝ち切るための馬券心理学』の紹介である。ちなみに新刊は左で、右側の付箋がペタペタ貼り付けられているのは、3年前に出版された伊丹氏の前著『勝てる思考の馬券術』である。私はいつも「ここ大事だ! あとでまた読もう」と思ったところに付箋を貼るのだが、付箋を貼ったことに安心してしまって、もう二度と開かないであっさり忘れてしまう。これを心理学の用語で「付箋ブラインド効果」という。嘘です。いま考えました。

 副題は「なぜ、日曜最終の大勝負を止められないのか」。本書のなかには他にも「遠くの競馬場まで遠征するとつい財布の紐がゆるんでしまう」「締め切り間際に予想をしていい加減な馬券を買ってしまう」などの章があり、競馬ファンの心をチクチクと刺激する。ああ、いつもの俺じゃないか。これじゃいかん。これを読んで頑張ろう!

 簡単に言えば、本書は馬券版「心を整える」ための本である。ちなみに、新刊はアドバンスドで、より踏み込んだ内容になっている。この題材に興味を持った人にとって、間口が広いのは前著『勝てる思考の馬券術』の方だと思うので、重ねてお薦めしたい。

『勝ち切るための馬券心理学~なぜ、日曜最終の大勝負を止められないのか~』

『勝てる思考の馬券術~なぜ馬券を買わなかったときに限って狙い馬が走るのか~』

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2013年6月 8日 (土)

競馬王7月号

 来週から函館競馬。長い長い3ヶ月ロングランのスタートです。かつてなかった試練に函館の芝コースはどうなってしまうのか?

 昨日発売の競馬王7月号では「どうなる!?函館12週連続開催」と題して、コースの鬼こと城崎哲氏が6ページに渡って徹底解析しています。たとえば、4年前の札幌12週連続開催はどうだったか。あるいは一昨年の函館8週間はどうだったか。城崎氏は、上位に入線した馬が通った場所を目視で集計してコースバイアスを測定、そこからの演繹で今夏の函館を予測しています。なんという労作! 読み応え充分です。馬場読みはサイエンスであり、陰謀論もオカルトも必要ありません。とても勉強になります。

 他では、グラサン師匠のマンガが先日行われた公開ドラフトのレポートだし、人気馬のクロスレビューもあったりと、POG関連の特集が充実しています。すでにドラフトが終わったグループも多いと思いますが、まだの人はぜひお手にとってご覧ください。ちなみにマンガには私も出ています。当日は千葉セリ帰りで、目が疲れていたのでコンタクトを外して眼鏡をかけての出演でしたが、マンガでは眼鏡をかけていない! べつに師匠が手を抜いたのではなく、マンガ上のキャラがブレるからです。

「一口馬主、駆け込み出資で当たりを引く!」という企画では、いまから買える各クラブの2歳馬を紹介。POGの検討で2歳馬の勉強を積み重ねたあなた! さめやらぬ熱意をそっくり一口に注いではいかが? ちなみに私も1ページもらって原稿を書きました。シルクホースクラブの本拠地・福島県天栄村についてのお話です。

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2013年5月20日 (月)

千葉サラブレッドセール2013、最高価格はマンカフェ牝馬

 今年の千葉サラブレッドセールは、5月17日の金曜日に行われた。会場になった船橋競馬場は好天に恵まれて、多数の購買者、厩舎・牧場関係者で賑わった。だが、マスコミ関係者の姿は、JRAブリーズアップセールに比べるとかなり少ない。ここ数年同じ顔ぶれしか見ていないような気がする。このセールに対する需要は、プレーヤー側と報じる側とでギャップがあるようだ。競馬ファンとしてはどうなんだろう?

 JRAブリーズアップセールと同様、首都圏で開催されるセール。買い手が来場しやすい場所までわざわざ馬を運んで行われるのだから、売り手にとって自信の商品が集められているのは当たり前。お買い得品や掘り出し物を求めるのであれば、週明けに行われるHBAトレーニングセールに行くべきだろう。ユニクロではなくジョルジオアルマーニのアウトレット、みたいな感じ。

 高額落札馬ベスト3は以下の3頭。私は今回写真を6頭しか撮影しなかったが、3頭は全部抑えてある。「これが高くなるだろう」ということは簡単なチェックで誰にでも当たりがつくのだ。そういう意味では非常にわかりやすいセール。

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 スモークンフローリックの11(牝)。社台ファーム生産、父はマンハッタンカフェ。母はアメリカで重賞6勝の活躍馬で、母系はブラックタイプで真っ黒。半姉のワイルドフラッパーはJRA現役で9戦3勝と、母の繁殖馬としての資質の確かさも実証済みだ。本馬は馬体も見映えがするし、調教供覧で余力充分にマークした10秒7はこの日の最速ラップ。誰もが認めるこの日の超目玉商品だ。この馬が一番価格になったのは売り手の想定通りだろうが、5100万円(税抜き)という落札額は想定を大きく上回っていたそうだ。「タカラ」の村山義男氏が落札、美浦の国枝厩舎に入厩する予定。

 馬体重は470キロ。脚長で豪快なフットワークは父の良駒に共通するもの。スパイラルカーブの船橋でも外に膨れ加減だったように、広いコース向きの本格派と考えて間違いなさそう。リスクは、骨が丈夫なタイプではないことと、気性的に敏感・繊細な面を見せていること。もちろん、双方とも「素軽さ」「反応の良さ」というメリットの裏返しでもある。

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 ランペルティーザの11(牡)。社台ファーム生産、父はダイワメジャー。半兄にランパスインベガス。近親に上級条件での活躍馬が多数いるアベレージの高い牝系の出身で、クズが少ないダイワメジャーとの配合だから、長打力はともかく打率は高そうな馬だ。調教供覧でのラスト1F10秒8は2番時計だが、併走相手が直線でモタレてしまって併せ馬にならなかったことを考えれば、この馬が最速を出していた可能性もある。昨年来の各セールで活発な購買が目立つ三田昌弘氏が4600万円(税抜き)で落札した。馬体重は489キロ。

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 ブローザキャンドルの11(牡)。社台ファーム生産、父はクロフネ、母の父がサンデーサイレンス。母の兄にマイルG1で活躍したテレグノシスなど、近親には重賞級の活躍馬が何頭もいる。調教供覧では2Fから12秒2-11秒4というバランスのいいラップをマーク、反応が良く安定感のある走りが目を引いた。馬体重は478キロ。上記2頭は2月生まれだが本馬は5月生まれで、馬体にはまだ伸びる余地が感じられる。この馬も三田昌弘氏が3400万円(税抜き)で落札した。三田氏はこの2歳世代から新規に参入する馬主さん。

 ちなみにこの写真はセリ場に向かう列に並んでいるところで、撮影のためにiPhoneを向けたら牧場の人に耳立てまでしてもらった。素直な気性もセールスポイント。

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2013年1月 1日 (火)

名画座と競馬場

 元日は1日なので映画の日でもある。毎年この日は名画座に『男はつらいよ』を観にいくことにしている。年末年始の寅さん大会は名画座の人気メニューで、どの劇場でやっても大勢のお客さんが集まる。いまやレンタルショップで100円出せば借りられる映画をなぜ1000円も払って観にいくのか? しかもこれまでに何度も観たことのある映画なのに。

 私の場合それは「コメディだから」という理由が大きい。よく、コメディ映画は観客の笑い声を足してはじめて完成する、言われる。欧米人と違って日本人は映画鑑賞中はおとなしいものだが、コメディでは話は別だ。コメディ映画は大人数で観た方が盛り上がる。周りの笑い声に乗せられてテンションが上がったり、より集中したりと、一人で観ているときにはない相乗効果が味わえる。

 今日のある回では、上映終了の瞬間に自然と拍手が巻き起こった。「映画で拍手って、なんでだ?」と普通は思うだろうが、しかしそのときは場がそういう空気になったのだ。たまにこういうことがあるから、できるだけ劇場に足を運ぼうという気持ちになる。

 競馬ライターとしてはここで「みなさん競馬場にも足を…」という論に持っていきたいところだが、現実問題はそう簡単ではない。携帯端末でどこでも馬券が買えるこの時代に現場派というのはいかにもオールドスタイルだ。競馬場は寒いし、あるいは暑いし、動き回るのは疲れるし、席取りやパドックでの陣取りなどさまざまなストレス源が存在する。いつの間にか足が遠のくのも当たり前のこと。

 ただ、競馬場(レース場)の魅力はたしかにある。大レースの行われるわずか数分間に場内の数万人が一斉に集中・熱狂する光景は、公営ギャンブル以外ではほとんど味わえない。大レースが終わった直後に、競馬場ではちょくちょく雨が降るが、あれは大観衆の熱気が上昇気流になって上空に雲が発生するから。これまでワールドカップでもオリンピックでもそういう現象はなかったはずだ。

 最近は綺麗な施設も増えたが、本質的に競馬場はストレスがあふれる環境だ。だからこそ、競馬場ではできるだけ楽しく過ごしたい。努力して楽しく過ごそうとすべきだと思う。そしてギャンブルでは、ニコニコしているやつのところに運が行く。今年も競馬を楽しみましょう。

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2012年9月16日 (日)

三冠への道

 本年のイギリス二冠馬キャメロットは、昨日行われたセントレジャーに出走したが、直線で前が開かず追い出しが遅れる不利があって2着に敗れ、ニジンスキー以来42ぶりの三冠馬とはならなかった。勝ったのはゴドルフィン所有のキングマンボ産駒エンケ。

 そもそも、イギリスでは三冠競争の三つ目となるセントレジャーの価値が低下しており、日本やアメリカとは異なって「三冠」を尊ぶ気持ちが希薄になっている。達成が困難というよりも、目指す馬がいなくて40年の時が過ぎた。ただし、近年ではセントレジャーの地盤沈下を食い止めようとする動きもあって、欧州最強三歳馬キャメロットの三冠挑戦もその流れに沿っている。

 結果としては多くのファンにとってハッピーエンドとはならなかったが、最後のキャメロットの猛追もあって、レースとしては見応え満点。敗れたキャメロットも面目を失わないまま、ひさしぶりに注目を集めたセントレジャーは幕を閉じた。これによって直ちにセントレジャーの威信復活とはいかないだろうが、しかし潮目は変わっているのかもしれない。キャメロットが次の凱旋門賞で良い走りをすれば、ステップレースとしてのセントレジャーも認識が改められることに繋がる。次の三冠挑戦までは40年もかからないかもしれない。

■第30回関西テレビ放送賞ローズS

 阪神競馬場では二冠牝馬ジェンティルドンナが三冠を目指して秋初戦を迎える。全姉のドナウブルーが京都牝馬Sと関屋記念を勝ったマイラーで、ジェンティルドンナにも距離不安を懸念する声が小さくなく、桜花賞を勝ちながら続くオークスでは人気が下がるという屈辱を味わったが、低評価をあざ笑うかのような5馬身差圧勝。レースを重ねるたびにどんどん逞しくなっていった姿は、去年のオルフェーヴルを彷彿とさせる。

 ヴィルシーナは折り合いに不安がなくレースが上手な馬で、オークスではジェンティルドンナを上回る人気に支持されたが完膚無きまでに叩きのめされた。桜花賞・オークス連続2着だから牝馬ナンバーツーであることは間違いないが、はたしてどこまで高い壁なのか。薄い馬体をしていてトモの筋肉量も足りず、ここまで6戦しながら上がり3Fが出走馬中最速をマークしたことは新馬の一回だけしかない。小頭数でコーナー二つという今回の条件では持ち味の器用さは活かしにくい。となれば、1番人気で3着に敗れた黄菊賞(京都芝1800m)の二の舞もあるのではないか。

 ラスヴェンチュラスは成長が遅れて年明けデビュー。春はその他大勢の一頭に過ぎなかったが、休養して現れた新潟のパドックで私は驚いた。20キロ身体を増やしてひ弱さが抜け、馬体に芯が入った感じ。短期間でここまで良くなるとは。「良い馬とは良くなる馬」が私の持論だが、小島茂之厩舎お得意の「栗東留学」を経験して、このあとどこまで良くなるだろうか。楽しみだ。

 ちなみに先述の新潟戦は牝馬限定の500万下平場ながら、3、4着のパストフォリア、ハワイアンウインドも次走であっさり勝ち上がっている。1着同着だったレイカーラも含め、新潟屈指の高レベル戦だった。続く三面川特別では3着に敗れたが、内を通った馬が絶対有利だった当時の新潟の馬場に泣かされただけで、この馬自身は究極に近い末脚を使っている。むしろ、高速上がり勝負という今回と近い(であろう)条件からの臨戦はライバルたちにないプラス材料と捉えられる。順調の強みも加味して2番手に期待したい。

◎ 6.ジェンティルドンナ
○ 8.ラスヴェンチュラス
▲ 7.ヴィルシーナ

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2012年5月15日 (火)

千葉サラブレッドセールも盛況、最高価格はアグネスタキオン牡馬

 船橋競馬場で昨日(5月14日)行われた千葉サラブレッドセール、通称「千葉セリ」に行ってきた。

 千葉セリは、2009年から社台ファームが生産馬を多数上場させるようになって生まれ変わった。社台ファームや千代田牧場から良血馬が送り込まれてくるので、2歳セールとしては血統的なレベルが飛び抜けて高い。売れ残りの馬を早めに仕上げて…というトレーニングセールのイメージとはちょっと違う。たとえていえば、社台や千代田ブランドが手に入るアウトレットセールという感じ。訳あって在庫になってますが、お買い得ですよ。

 今年からは1歳セールがなくなって2歳セールのみの実施になったが、訪れた購買者の数は過去最多で、総売上額、売却頭数も過去最高を記録した。できるだけリスクを避ける馬主のニーズにも合致して、良血馬の新しい販路として2歳セールが完全に定着した観がある。社台ファーム代表の吉田照哉氏は、来年以降「たとえばディープとか」上場馬のさらなるレベルアップの必要性に言及していた。

 最高価格で落札されたのは、ヘヴンリーソングの2010。アグネスタキオンのラストクロップで牡馬。今セールの目玉商品は、シルバーウェイブ、ハーバーコマンドの谷掛龍夫氏が落札した。入厩先は栗東になるのでは? とは美野真一さん情報。馬体的にはトモが小さいのが割引材料、完成度が高いのはプラス材料で、足し算引き算あって4000万円(税抜き)という価格になった。馬体重は455キロ。

 落札価格第2位は、ロリポップガールの2010。半姉のラフレーズカフェも本セール出身の活躍馬で、父は今が旬のダイワメジャー、しかも牡馬。血統的なプロフィールから見て、高くなることは大方の予想通りだった。馬体重は436キロと小柄だが、青鹿毛の馬体は品があって美しい。この馬も完成度が高く、ヘヴンリーソングともども良血ながら即戦力としての期待が持てる。「サーストン」の斎藤宣勝氏が3800万円(税抜き)で落札、厩舎は美浦の戸田厩舎になる模様。

 第3位はプリティベティの2010。ゴールドアリュール牝馬で、母父がフレンチデピュティ、母母父がアフリート。ダートが良さそうな血統で、調教供覧でも併走馬を軽く置き去りにして終い1F最速の10秒7を叩き出した。南関牝馬クラシック候補登場か? と思っていたら、リザーブ価格の500万円からぐんぐん競り上がって、最終的には2900万円で「フジマサ」の藤原正一氏が落札した。南関東に入る価格ではないな。中央入厩としても、繋ぎは立ち気味でダート向きは間違いないだろう。478K。

 上位3頭は社台ファームの生産・育成馬だが、4位には千代田牧場の海外での生産馬、Romantic Romanceの2010(牡)が入った。父はアンブライドルドソング。骨太でゴツゴツした体つきだが身のこなしはしなやかで、文句なしに良い馬だ。ただ、体つきはまだ幼いし、ダートの中距離馬だろうからPOG期間が終わってからが稼ぎ時になるはず。2800万円で落札者は川上雪恵氏。492K。

 5位はまた社台ファームで、ミスアルダントの2010(牡)、父は新種牡馬のチチカステナンゴ。母の全兄がダービー馬タヤスツヨシで、上はみんな2勝以上している。馬体は見映えはするし、しなやかさもある。父のチチカステナンゴをリスクと見るか、魅力と見るか。2400万円まで競り上がって、ローズカットダイヤ、クロカンブッシュの青芝商事が落札した。460K。

 以上がベスト5で、続いては私のお気に入りを発表。…しようと思ったが、夜も遅いし、眠くなった。お気に入りは金曜に行われるPOGイベントで発表しようと思う。

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2012年4月26日 (木)

ブリーズアップセール、続き

 2番目に高額で購買されたのも牝馬で、ヒットザボードの10、父ネオユニヴァース。3550万円(税抜き)で「ロジ」の久米田正明氏に落札された。美浦の古賀慎明厩舎に入厩予定。岩田騎手が騎乗した供覧での時計は残り2Fから13秒6-11秒1。騎手が乗っていたから速い時計が出たのではなくて、これくらいの時計は何度も出している。身体は小柄で正直パッとしない(失礼)のだが、走りは大きくてダイナミックそのもの。走らせて良さがわかるタイプで、1歳のサマーセールの落札価格から7ヶ月で7倍以上の値段に跳ね上がったことになる。

 3番目がキタサンバースデーの10。牡馬では最高価格の3000万円(税抜き)で林正道氏が落札した。父はいまが旬のステイゴールド、おじにジャングルポケットがいる血統馬だから、どうしたって高くならざるを得ない。馬体はどっしりしていて動きはパワフル。現時点で500キロ近い馬体重があるが、まだ大きくなりそうだ。

 4番目がベラミロードの10。11秒6-11秒0は、全体・ラスト1Fともに今セールで最速。2750万円(税抜き)で「メイケイ」の名古屋競馬(株)が落札した。シャープで無駄のない動きをする。父はアドマイヤムーンで、短めの距離向きのスピード馬だろうから、めざせ!ファルコンSということで良いのではないか。馬体の完成度も高く、速攻要員。というか早期デビューしないでどうするよ。早い時期から稼働馬がいないとイライラしちゃう人にはリスト入りをお薦めしたい。

 ジョンコの10は新種牡馬のチチカステナンゴ産駒で「ダイメイ」の宮本孝一氏が2650万円(税抜き)で落札した。それほど目立つ動きをしたわけではなかったが、なぜか気になる馬で、実馬展示でも人だかりができていたし、競る人も多かった。ルックス的にもフクフクしていて、良い名前をつけたら人気が出そう。でもダイメイか。

 ここまでが今セールの価格順ベスト5で、以下はお気に入り枠。エンキャンタドゥの10はネオユニヴァース産駒の牝馬。1550万円(税抜き)で大谷高雄氏が落札した。大谷高雄氏はセイウンワンダーの馬主として有名だが、それ以外にもビッグスマイル(3勝)、ベストロング(2勝)とブリーズアップセールで外れを引いたことがない。この馬は四肢の伸びが良くて、身のこなしに窮屈さがない。おそらく領家厩舎に入厩することになるだろうが、早い時期からガンガンというタイプではないと思う。ごらんの通り(↓)の別嬪さん。

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 シャカラカベイビーの10は1050万円で「タイセイ」の田中成奉氏が落札した。牝馬。回転の速い走りでスピードの乗りが良い。馬体のバランスが良いし、骨量があってパーツもしっかりしている。オレハマッテルゼ産駒だからそこまでの高値にはならなかったが、スペックに疵がなくレベルの高い馬だ。お買い得だったと思う。POG的にもお薦め。

 レジェルマンの10(牡)はバブルガムフェロー産駒。馬体重60キロのJRA職員を乗せながら11秒8-11秒7。シャープな走りが目を引いて、1900万円まで競り上がった。フラワーサークルの10(牝)は新種牡馬のアルデバラン産駒。身体を目一杯に使った走りで12秒2-11秒4を計時した。前向きなスピード馬で「夏の2歳ステークス狙い」ということで古澤秀和さんと話が一致した。シルキークラフトの10(牝)は騎乗供覧の入場時に放馬。ダートトラックを一周した数分後に走らせて12秒2-11秒5という好時計をマークした。元気一杯、走るの大好き。ロジの久米田オーナーで所属は美浦、おそらくダート馬だと思うので、また中山のダートを走る日も遠くない。

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2012年4月25日 (水)

ブリーズアップセールV字回復、最高価格はレディインディの10

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 今年のブリーズアップセールは二年ぶりの完売だった。「完売当然」のブリーズアップセールが帰ってきた。平均落札価格、総売上額ともに一昨年の水準まで回復した。はじめて完売を記録した2009年は、前年にG1馬セイウンワンダーが出た影響もあってバブルなセールだったが、今年は地に足のついた購買がほとんどだったと思う。馬券の売り上げの話題になると判で押したように「前年比割れ」ばかりだから、こちらのV字回復はひさしぶりに明るい話題だ。すなおに喜びたい。

 最高価格はレディインディの10、父ダイワメジャー。祖母フィジーはレインボウクエストの代表産駒の一頭に数えられる名牝で、馬の出来も◎ならば騎乗供覧のタイムも水準以上。熱く注目していたが、あっという間にどんどん競り上がって、税抜きで4000万円というブリーズアップセールでは未知の領域にハンマーは降りた。購買者がトーセンの島川隆哉氏と聞いて、猛烈な競り上がり方にも納得。「なにか即戦力」ではなく「この馬をピンポイントで」狙っての落札だった。入厩先等は不明だが、POGでも「速攻系」の狙いとは違う観点で取り扱うべき馬だと思う。

 JRA育成馬を熟知する美野真一さんと一緒に騎乗供覧を見ていたのだが、気になった馬を聞かれて「高いですけど」と断ってこの馬の名を挙げたら、もちろん良い馬だが「ダイワメジャーにしてはお尻が小さい」と言われた。ほんと?? と思って実馬展示で見たら、その通りだった。馬体写真ではそうは見えないのだが、これは二次元の錯覚だと思う。ちなみにリンク先は昨夏のセレクションセール、この馬が1歳時の写真。今セールの写真より出来映えが良いのでこちらにリンクした。

 騎乗供覧で目を奪われたのは、父を彷彿とさせるダイナミックなフォーム。でありながらピタッと動かない背中のライン。長躯短背でなおかつ柔軟な身体がそのメカニズムを可能にしている。動きと馬体を見比べて非常に勉強になった。ちなみに私のつけた値は2500万円。甘い甘い、甘すぎた。

 その他の馬たちについては、明晩にまた。

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